中区 栄の雑草
今回はヒメツルソバを取り上げました。
ヒメツルソバはヒマラヤ原産の多年生草本、和名は「姫蔓蕎麦」で、ソバのような葉を持つことから来ていますが、ソバ(蕎麦)も同じタデ科の草本です。
タデ科独特の、やや紫がかった緑に葉の模様、ピンクの小さな花、図が少々まずいのでわかりにくいかもしれませんが、着色していただくとピンと来るでしょう。 元々は雑草ではなく観賞用に移入されたもので、別名ポリゴナムは属名でタデ全般を指し、「蓼食う虫も好きずき」のタデです。

ヒメツルソバは寒さにやや弱いものの、暑さや乾燥に強く丈夫な性質で、派手さはないが可憐な花を多くつけるため、地被のみならず鉢植えにも相当利用されています。 その性質から野生化している場面も多く見られ、こぼれ種子で結構広がっていますが、在来種を脅かすような存在にはなってほしくないものです。

多年草ですが寒い場所では地上部が枯れるか、一年草として種子での冬越しとなります。 採取資料は東向き建物内半地下駐車場の出入り口、コンクリート舗装の隙間のわずかな土に生えていたものです。 場所柄植えられていたものではなく、何処かからか、種子がこぼれて根付いたものでしょう。

茎は30cm程伸びており、まだまだ数多く花をつけていました。 各種資料では開花期が5~8月となっていますが、条件次第でかなり長い期間花が咲くようです。 寒さがやや苦手な種とはいえ、北風が直接当たらないこの場所では、今しばらく花が楽しめるのではないでしょうか。
ヒルツルソバ(タデ科)
参考資料 園芸植物大辞典(小学館) (本種はさすがに新日本牧野には記載がありませんでした)
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