陸前高田市被災地支援活動報告
被災地調査活動  平成23年6月29日~7月2日
6.街路樹(ヤマボウシ)植生調査(土壌サンプリング調査)及び復旧作業
街路樹(ヤマボウシ)が津波のためか、すべて倒れており立て起こし及び支柱設置作業を行った。
※調査団のひらめきで倒木して枯れてしまったヤマボウシを材料に支柱を行った。
7.名古屋市緑政土木局鵜飼氏と仮設住宅視察
現地でプランター等要望があることを聞き、名古屋市緑政土木局鵜飼氏の案内で現地各所の仮設住宅を視察。
8.けやけき(素晴らしい)欅(奇跡の愛)の調査・樹勢回復作業
対象樹木 ケヤキ:H=14m C=1.62m
【診断結果】
地元住民によるヒアリングの結果、津波被害から15時間以上完全に海水下に浸っていたこと、また、今年度の新葉が落葉を起こし再度萌芽(ほうが)した(2度吹き)との情報から考えると、詳細診断をするまでもなく、萌芽新葉した枝葉が、数週間経過するも徐々に先端枯死の進行が見られる状況にあることから、海水により樹体が浸透圧による水分流出を起こし、樹体の水分が抜けることにより、樹木先端枝の衰弱がかなり見られることは明らかである。

また、地元に住民によるヒアリングによると建物反対側に同じような形状寸法のケヤキが植樹されていたようであるが、こちらは今回の津波被害により壊滅した状況のようだ。ケヤキに多くの木材及び電線等が絡まっており、水圧によるものなのか外傷によるものなのか、一部幹の中心には内部クラック(立割れ)が見られ、樹木に相当の被害を受けたとことが容易に想定できる。
【今回の処置(緊急応急処置)】
・ ケヤキの根元に瓦礫及び土砂等が堆積しており、悪影響を及ぼす恐れがある為撤去除去をした。
・ 震災前からケヤキの根元に植樹されていたと思われるサツキ(H=0.5程度)が30株程あり、ケヤキの根元が保護されていたようだが、瓦礫及び土砂が堆積されてしまったため、やむなく地上部撤去をした。
・ サツキの撤去及び土砂の撤去作業を行ったことにより、ケヤキの根元の急激な乾燥が起こることが考えられるためよしずによる根元乾燥防止処置を行った。
・ 樹木に悪影響を及ぼす可能性がある絡まった木材及び電線等撤去作業を出来る範囲で行った。
・ 幹にもかなりの傷が見受けられ、幹焼け防止のため幹巻を行った。
・ 樹勢衰退による枯枝及び損傷枝等が見受けられたため剪定を行うと共に、トップジンによる傷口処置を行った。
・ 土壌の腐敗臭がしたため、嫌気性発酵の恐れが大いにあり、対処しなければならない可能性があるので被災前の地盤から60㎝のまで土壌のサンプリングを行った。
【今後の対応】(7月2日現在)
基本的には自力回復が最良の策ではあるが、今回は2度吹き した芽であること、また、萌芽力が極めて弱まってきている ため、補助的作業が必要になると思われ、注意深く見守って いきたい。
樹勢次第ではあるが、常にエネルギーの消耗がなされているため、梅雨明け頃に葉から肥料を吸わせるための、ブドウ糖等の液肥による葉面(ようめん)散布が必要であると思われる。 土壌サンプリングの結果次第では何らかの手当を施すことを想定する。出来る範囲で木に絡まった木材及び電線等撤去作業は行ったが電線及び海藻等まだまだ撤去しきれていない状況である為、今後の対応については検討していきたい。
本当の手当としては、来年の芽吹きが一番大切であると考えているため、地元の造園業の方と密に連絡を取り合い、秋以降の落葉期(陸前高田市辺りだと10月以降)に、今後の樹勢回復を図っていくための検討を必要とする。
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